猫を動物病院に連れて行くたびに、「この子、本当につらそうだな」と感じたことはありませんか。待合室で他の犬の鳴き声に怯えてキャリーの奥に縮こまる姿、診察台の上で全身を硬直させる姿。飼い主としてはどうしても胸が痛みますよね。
私は篠原あかりと言います。動物看護専門学校を卒業後、都内の動物病院で5年間動物看護師として勤務していました。結婚を機に茨城県に引っ越し、現在はフリーランスのペットライフアドバイザーとして、ペット関連メディアへの寄稿を中心に活動しています。自宅には保護猫2匹、茶トラの「きなこ」とサビ猫の「もなか」がいます。
茨城に越してきたとき、真っ先に困ったのが「かかりつけの動物病院をどこにするか」でした。とくに猫は犬と違って病院が大の苦手。元看護師として内部事情も知っているぶん、余計に妥協できませんでした。
この記事では、私が茨城で猫にやさしい動物病院を探した過程と、最終的にたどり着いた水戸動物病院について書いていきます。猫の通院ストレスに悩んでいる方、茨城県内で病院を探している方の参考になればうれしいです。
目次
そもそも猫はなぜ動物病院を嫌がるのか
猫の病院嫌いは、飼い主あるあるの一つ。でも「うちの子が臆病なだけ」と思っていませんか。実はこれ、猫という動物の本能に根ざした当然の反応なんです。
環境の変化に敏感すぎる動物
猫は自分のテリトリーを非常に大切にする動物です。自宅という安全圏から急に知らない場所に連れ出されるだけで、猫にとっては大きなストレスになります。
動物病院の待合室は、猫にとってストレス要因の宝庫です。
- 他の動物(とくに犬)の鳴き声や体臭
- 消毒液やアルコールなどの独特な匂い
- 初めての場所で見知らぬ人に囲まれる状況
- キャリーの中から動けない閉塞感
ねこのきもちWEB MAGAZINEの調査では、飼い主の83%が「愛猫は動物病院を怖がる・嫌がる」と回答しています。ほとんどの猫が病院をストレスに感じているわけです。
「一度の嫌な経験」が長く残る
猫は嫌な経験の記憶力がとても強い動物です。過去に注射で痛い思いをした、押さえつけられて怖かった、そういった記憶が「病院=怖い場所」として刷り込まれてしまいます。
私が看護師時代に見てきた猫たちも、2回目以降の来院で明らかに警戒度が上がるケースは多かったです。逆に言えば、初回の体験がいかに大事かということでもあります。
「猫にやさしい病院」を選ぶために私が重視した5つの基準
引っ越し先で病院を探すにあたって、元動物看護師の視点で5つの基準を設けました。
1. 猫専用の待合スペースがあるか
犬と猫を同じ待合室で待たせる病院は、正直なところまだ多いです。でも猫にとって、すぐそばで犬が吠えている環境はかなりの恐怖。猫専用スペースがあるか、少なくとも犬と猫を分ける工夫がされているかは外せない条件でした。
2. スタッフの猫の扱い方
動物看護師として内側から見てきたからこそ分かるのですが、猫の扱いが上手なスタッフとそうでないスタッフの差はかなり大きいです。猫は力で押さえ込むと余計にパニックになります。タオルで包む、視界を遮る、低い声でゆっくり話しかけるなど、猫特有のハンドリング技術があるかどうか。
3. 院内の匂い・音への配慮
猫は嗅覚が人間の数万倍とも言われています。消毒液の匂いが充満した待合室は、それだけで猫のストレスレベルを上げてしまいます。換気がしっかりされているか、フェロモン製剤を使っているかなど、見えない配慮が重要です。
4. キャットフレンドリークリニック(CFC)認定の有無
調べていくうちに知ったのが、「キャットフレンドリークリニック(CFC)」という国際認定制度。JSFM(ねこ医学会)が国際猫医療学会ISFMと連携して運営しているもので、猫にやさしい病院の国際基準を満たした施設に認定が与えられます。
認定にはゴールド・シルバー・ブロンズの3段階があり、待合室の環境、使用機器、スタッフの猫への対応など100項目近い審査基準をクリアする必要があります。2026年時点で日本国内のゴールド認定は174病院、シルバーは59病院、ブロンズが3病院。全国の動物病院の数を考えると、かなり限られた数です。
5. 通院距離と継続性
猫は移動そのものがストレスです。車で1時間かかる名医より、15分で行けるかかりつけ医のほうが猫の負担は少ない。もちろん専門的な治療が必要なときは別ですが、日常的なワクチンや健診で通う病院は、近さも大事な要素でした。
茨城県内で探し始めて感じたこと
基準を決めて実際に茨城県内で探し始めたのですが、正直なところ苦戦しました。
猫に特化した病院が少ない
東京にいた頃は猫専門病院もいくつかあって選択肢に困りませんでした。でも茨城に来てみると、犬猫両方を診る一般的な動物病院がほとんど。「猫にやさしい」を明確に打ち出している病院を見つけるのが難しかったです。
CFC認定病院を軸に絞り込む
そこで私はCFC認定病院のリストから茨城県内を検索しました。JSFM公式サイトの認定病院一覧を確認すると、茨城県内でCFC認定を受けている病院は数えるほどしかありません。その中で自宅からの距離や診療内容を比較して候補を絞っていきました。
水戸動物病院を選んだ理由
いくつかの候補を比較した結果、最終的に選んだのが水戸動物病院でした。
茨城県初のISFM認定という実績
水戸動物病院は茨城県で初めてISFM(国際猫医療学会)の認定を受けた動物病院です。「茨城初」というのは単なる肩書きではなく、猫にやさしい環境づくりに早くから取り組んできた証拠だと感じました。
具体的な猫ストレス軽減の工夫
ホームページや実際の来院で確認した、猫への配慮をいくつか紹介します。
| 工夫 | 内容 |
|---|---|
| フェロモン拡散装置 | 院内にフェリウェイ等のフェロモン製剤を設置し、猫の情緒を安定させる |
| 床暖房 | 冬場の冷たい診察台や床は猫の緊張を高める。床暖房で体温低下を防ぐ |
| セントラルクリーナー | 24時間換気で院内の匂い・空気を清潔に保つ |
こういった設備は「猫のために投資している」姿勢そのもの。看護師時代を振り返ると、ここまで猫に特化した設備を整えている病院は珍しかったです。
昭和49年開院の安心感
水戸動物病院は1974年(昭和49年)開院で、50年以上の歴史があります。長く地域に根ざして続いている病院には、飼い主さんとの信頼関係が蓄積されています。新しくてきれいな病院も魅力的ですが、「何十年も地域のペットを診てきた」という厚みは簡単には作れません。
一般診療から専門診療まで幅広い
かかりつけ医として通うなら、ワクチンや健診だけでなく、万が一のときに専門的な診療もできる病院が理想です。水戸動物病院は腫瘍治療、整形外科、再生医療(幹細胞療法)にも対応していて、一つの病院で幅広くカバーできる体制が整っています。
猫は高齢になるとガンのリスクが上がるので、腫瘍に強い病院がかかりつけだと心強いです。
実際に通ってみて感じたこと
候補として選んだだけでなく、実際にきなこともなかを連れて通院してみた感想をお伝えします。
待合室の雰囲気
最初に感じたのは、院内の匂いがきつくないこと。「病院の匂い」が薄いんです。きなこは病院に入ると固まるタイプなのですが、ここでは比較的落ち着いていました。換気システムとフェロモン装置のおかげかもしれません。
診察時の猫への接し方
診察中、先生やスタッフの方が猫への声かけを丁寧にしてくれたのが印象的でした。無理に押さえつけるのではなく、タオルを使って視界を遮りながら診察を進めるスタイル。元看護師としては「ちゃんと猫のハンドリングを分かっている人たちだな」と安心しました。
飼い主への説明が丁寧
水戸動物病院のホームページにも「透明度のある病院づくり」と書かれていましたが、実際に診察内容や費用について分かりやすく説明してくれます。動物医療は飼い主が不安を感じやすい領域なので、この姿勢はありがたいです。
猫の通院ストレスを減らすために飼い主ができること
病院選びも大事ですが、飼い主側の準備でストレスは大きく変わります。私が実践しているコツを紹介します。
キャリーを「怖いもの」にしない
一番大事なのがこれ。通院のときだけキャリーを出すと、猫は「キャリー=嫌なことの前触れ」と学習してしまいます。
- 普段からキャリーを部屋に出しっぱなしにする
- 中にお気に入りのブランケットを敷いておく
- キャリーの中でおやつをあげて良い印象を付ける
うちのもなかはキャリーの中で昼寝するくらい慣れています。ここまで来れば通院準備のハードルはぐっと下がります。
通院時の持ち物チェックリスト
| 持ち物 | 理由 |
|---|---|
| 使い慣れたタオル | 視界を遮ったり、診察台に敷いて自分の匂いで安心させる |
| おやつ | 診察後のご褒美でポジティブな記憶に |
| 洗濯ネット | パニック時の脱走防止。狭い空間で落ち着く効果も |
| ウェットティッシュ | 移動中の粗相に対応 |
| 過去の診察記録 | 転院時や初診時に病歴を正確に伝える |
飼い主自身がリラックスする
猫は飼い主の緊張を敏感に察知します。「大丈夫かな」「暴れないかな」と焦る気持ちは、猫に伝わってストレスを増幅させてしまいます。深呼吸して、普段通りの声で話しかけてあげてください。
帰宅後のフォローも忘れずに
通院後の猫は疲れています。帰ったらすぐにキャリーから出して、静かな場所で休ませてあげましょう。多頭飼いの場合、病院帰りの猫は他の猫から「知らない匂い」として警戒されることがあるので、しばらく別の部屋で落ち着かせるのも手です。
まとめ
茨城に引っ越してきて、猫にやさしい動物病院を探すのはなかなか大変でした。でもCFC認定という国際基準を手がかりにすることで、信頼できる病院に出会えたと思っています。
水戸動物病院は茨城県初のISFM認定病院として、設備面でも対応面でも猫への配慮が行き届いています。50年以上の歴史に裏打ちされた経験値も、かかりつけ医として安心できるポイントでした。
もちろん、どの病院がベストかは猫の性格や飼い主さんの事情によって変わります。大事なのは「猫のストレスを少しでも減らせる病院」を意識して選ぶこと。そして飼い主側も、キャリーに慣らす、持ち物を準備するなど、できることをやっておくこと。
この記事が、茨城で猫の病院探しに悩んでいる方の一つの参考になれば幸いです。



